平成31年2月号 石崎紬音さん(県立芸術総合高等学校1年生)

更新日:2019年1月27日

プロフィール

石崎紬音さん

県立芸術総合高校で美術を学ぶ。学校の課題で描いた作品が、「平成30年度明るい選挙啓発ポスターコンクール」の高校の部で、文部科学大臣・総務大臣賞を受賞。全国で6人、埼玉県で唯一の同賞受賞者となった。

個性とインパクトが大事。斬新な発想のポスターで受賞


今日も寒い。そうだ、温かい飲み物でも…と思いきや、自動販売機に並んでいるのは選挙の候補者。それぞれに付いている「あったかーい」とか「レモン何個分のビタミン」ならぬ、「すみやすーい(住みやすい)」や「びょうどーう(平等)」などのアピールを見て、「決めた、この人にしよう」と手を伸ばす。

「あなたの一票が未来を作る」のが真実である一方で、それを重荷に感じてしまう若い世代がいるのも現実。暮らしの中で、選挙や投票は当たり前のものだと、自動販売機の絵で表現した。斬新な発想で、「平成30年度明るい選挙啓発ポスターコンクール」の頂点、文部科学大臣・総務大臣賞を受賞したのが、芸術総合高校で美術を学ぶ石崎紬音さんだ。
 選挙の啓発ポスターなのに、投票用紙も投票箱も登場しない。「人と被かぶるのが嫌い。絶対に人と違う発想の作品にしようと、いろいろ考える中で、身近な存在の自動販売機に着目しました」。
「正直、大きな賞をいただいたという実感は、まだ湧かないんです」と、少々戸惑いを隠せない。それでも、「もっと気楽に投票に行こうよ。そんな思いで描きました」と、しっかりと言葉を選びながら、作品について話してくれた。
当初、学校では、「発想は面白いけれど、難しいね」という厳しい講評だった。「だから、受賞の知らせを聞いてとても驚きました。私の場合、最初に酷評された作品ほど、後で高評価をもらうことが多いみたい」と笑う。発想の面白さや深さが「後からじわじわ来る」ということだろうか。

絵が好きな両親の影響で、物心付いた時には絵を描いていた。幼稚園の頃から、作品展やポスターコンクールで入賞を重ねるように。大好きな美術をもっと学びたいと、昨年、芸術総合高校に入学した。 「普通科の学校と違って、『創る』ことにつながる学びがたくさんある。学校も、周囲の友達も個性的で魅力的です」と、充実した高校生活を語る。作品を創る過程の試行錯誤で、1度失敗すると気持ちがへこんでしまい、なかなか立ち直れない。でも、それを乗り越えて思い通りの作品が完成した時の達成感は、何物にも代えがたいという。
絵を描くことは大好きだが、最近は、立体物を制作している時の自分が、とても自由で自分らしいと感じるそう。2年生からは彫刻を専攻することを決めた。
美術以外で好きなものは?と尋ねると、少しはにかみながら「ゲーム」と答えが返ってきた。将来は、得意分野を生かして、キャラクターや背景デザインの制作など、大好きなゲームに関わる仕事がしてみたい、と目を輝かせる。個性とインパクトにこだわる石崎さん。彼女ならではの作品が世界中を「じわじわ面白く」させる日が、今から楽しみだ。
(取材:加賀谷)

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